原子力発電の仕組み

原子力発電の仕組み解説

汽力発電(蒸気の力でタービンを回して電気を作る)を可能にする熱エネルギー、火力発電の場合は化石燃料を燃やして得ますが、原発の場合は核分裂を利用します。核分裂を起こす材料(核燃料物質)として、ウラン235やプルトニウム239が多く使われています。

現在(2021年3月)、世界では441基の原子炉が稼働しています。詳しくは各国の原子力発電の数は?をご覧ください。

2種類の軽水炉

上図は、軽水炉の1つのタイプである沸騰水型炉(BWR)の仕組みを簡略したものです。原子炉格納容器の中に、圧力容器があります。

燃料棒には、酸化ウランペレットという焼結・研磨された1センチ角のものが縦に詰められています。

制御棒はいわばブレーキで、燃料棒の間に差し込むことで、核分裂の連鎖反応が止まります。なお、核分裂が収まった後も高温状態が続くため、水を循環させて冷まさなくてはなりません。これができなかったのが、東京電力福島第一原子力発電所の事故(2011年3月11日)の原因です。

ウラン鉱石から核燃料物質

カナダ・オーストラリア・南米などの鉱山から採取できるウランですが、そのままでは発電に使えません。天然ウランを、精製して濃度を高めたり(ウラン235)、変換やベータ崩壊を起こしたり(プルトニウム239)して、核燃料物質にします。

原子力発電のメリットとデメリット

核分裂のエネルギーを元に発電するので、二酸化炭素を排出することがありません。また、莫大な電気量を生み出すことができます。

しかし、発電後には、カス「核のゴミ」が残ります。これは、人体に有害なレベルの放射線を発しています。核のゴミの半減期(放射線が半分になる時間)は核種により変わり、プルトニウム239だと2.4万年です。

最大のデメリットは、原子炉が損傷する事故を起こすと甚大な損害が広域に及ぶことです。2011年に起きた東日本大震災と原発事故は、現在でも事故処理が行われ、住んでいたところから避難している人たちがいまだにいます。

使用済み核燃料の再処理

発電の燃料として使い終わった中には、まだ燃料にできる元素が含まれているので、再処理を行いもう一度、燃料棒に加工してリサイクルすることが可能です。放射性廃棄物を減らすことにもなります(再処理はフランスやイギリスなど外国事業者に委託)。

放射性廃棄物を埋める

放射性廃棄物の最終処分方法は、世界共通で、地中深くに埋めることです。NUMO制作の動画『「地層処分」とは…?』で分かりやすく説明されています。

NUMOニューモ:原子力発電環境整備機構
地層処分を行う日本で唯一の組織。Nuclear Waste Management Organization of Japan。

参考文献

関連ページ

わかりやすくリクエスト募集中

知りたいことや分かりやすくしてほしい点をお問い合わせフォームより募集しています。全て対応できるか分かりませんが、より多くの人へ伝わるように掲載中の記事も改善を重ねます。

下のボタンを押すと、このページのタイトルとURLをコピーできます。メールやSNSのシェアにお使いください!

原子力発電の仕組み解説 by 編集部